モノクロ液晶(LCD) 選定ガイド

How to select Passive-LCD

最適なモノクロ液晶の選定方法とは?

ここでは「最適なモノクロ液晶の仕様選定方法」を解説します。

「製品の用途・使用環境」に合わせた「液晶の種類・部品仕様」を決めることで、十分な性能で価格を抑えることが可能です。事前に考慮しておくことで、製品の選定や部品調達がスムーズになります。以下では、液晶や周辺部品について詳しく解説いたします。

1.  表示部分の仕様の選定

はじめに、表示部分に関する液晶の仕様を決めます。
「①液晶モード」×「②ネガ・ポジ」×「③偏光板タイプ」の3つの項目について、いずれかをお選びください。

 

【デモ機】液晶モードによる見え方の違い

下の表は「①液晶モード」「②ネガ・ポジ」「③偏光板タイプ」の組み合わせの比較表です。
実機で確認されたい場合は、デモ機をご用意しております。お気軽にご連絡ください。

①液晶モード×②ネガ・ポジ ③透過・半透過型(バックライトON) ③反射・半透過型(バックライトOFF)
TN/HTN×ポジ
TN/HTN×ネガ ×(無し)
STN×Grayモード ポジ
STN×YGモード ポジ
(YG LED)
STN×Blueモード ネガ ×(無し)
FSTN/DFSTN×ポジ
FSTN/DFSTN×ネガ ×(無し)
VA/MVA×ネガ
(セグメント型のみ)
×(無し)

① 液晶モード

「見えやすさ(視野角/コントラスト/色付き)」に関する項目です。
「見えやすさ」と「価格(コスト)」は、トレードオフの関係になっております。両方のバランスの取れた液晶モードをお選びください。

液晶モード(ネガ表示) 視野角 コントラスト 価格(コスト)

TN/HTN
△(狭い) △(低い) ◎(安い)

STN×Blueモード
○(普通) ○(普通) ○(普通)

FSTN/DFSTN
○(普通) ○(普通) ○(普通)

VA/MVA(セグメント型のみ)
◎(広い) ◎(高い) △(高い)

② ポジ/ネガ表示(白黒表示)

「ネガ表示」または「ポジ表示」から、お選びいただきます。ご使用する環境を想定し、見えやすい方をお選びください。

ネガ/ポジ イメージ ネガ/ポジの特徴 想定するシーン

ポジ表示(TN-ポジ)
・偏光板タイプの制約はない。
・明るい場所であれば、BLオフで視認可能。
(=消費電力を抑えられる)
・屋外/明所での使用
・バッテリー駆動の製品

ネガ表示(TN-ネガ)
・ポジよりも、見えやすい(高コントラスト、広視野角)
・偏光板タイプは、透過型のみ
(=常時BL点灯の為、消費電力が多い)
・室内/暗所での使用
・コントラストを確保したい場合

③ 偏光板タイプ

偏光板タイプは3種類ございます。用途や使用場所によって、適したものを選定してください。

偏光板タイプ 透過型(バックライト有) 反射型(バックライト無し) 半透過型(バックライト有)
イメージ
メリット【○】 ・表面輝度が高い ・薄くて軽い
・低電力で電池駆動も可能
・透過と反射の特性を併せ持ち、
どんな場所でも使用可能。
デメリット【×】 ・日光下で見えにくい
・バックライトが常時点灯
(=消費電力が多い)
・暗所では見えない ・透過/反射の特性が半分になるため、
全透過/全反射と比較すると若干暗い。

その他の仕様

・マルチカラー バックライト

白のLEDバックライトを用いるのが基本ですが、RGBのLEDバックライトを使用することで、様々なカラー表示が可能です。同じモジュールで複数色を表示することが可能です。

【カラーバックライト×セグメント液晶】

・カラー印刷

ガラスの特定のエリアにカラー印刷を行う手法です。セグメントLCDの場合、各セグメントに対してカラー印刷することで、セグメント毎に別の色で表現することが可能です。

【カラー印刷×セグメント液晶】

2. 表示部分以外の周辺部品の選定

液晶ガラスへの接続方法

主にドライバICを搭載しない場合の接続方法です。
(※ドライバICをCOG実装する場合も、これらの方法になります。)

接続手法 1. 金属ピン 2. ガラス端子+導電ゴム 3. FPC
イメージ
ストレート形状 / ストッパー付 / 曲げ付
特長 複数の金属ピンで接続します。
・ピッチ:1.27 / 1.5 / 1.8 / 2.0 / 2.5 / 2.54 mm
・ピンの形状:ストレート/ストッパー付/曲げ付き
お客様のプリント基板とLCD端子間を
異方性導電ゴム等で接続します。
半田付け不要のコネクタ接続の場合に
適しています。

LCDドライバIC実装方法

LCDドライバICの種類によりますが、実装方法でLCDモジュール構造が大きく変わります。
ドライバICの一覧はこちらをご覧ください

名称 1. COB実装 (Chip On Board) 2. COG実装 (Chip On Glass) 3. COF実装 (Chip On Film)
イメージ
実装方法 プリント基板にドライバICを実装し、
異方性導電ゴムでLCDと接続する構造。
LCDガラス上にドライバICを実装する構造。 FPC上にドライバICを実装し、
そのFPCをLCDに接続する構造。
メリット プリント基板に設計の自由度が高く、
作りやすい。
モジュールの厚みを薄く出来る。 モジュールは薄く、折り曲げることで
IC実装部の外形寸法を狭く出来る。
デメリット ある程度のモジュールの厚みが必要。 IC実装部の外形寸法が大きくなる。 COB/COGに比べて高価。

駆動方式

画素数が多い場合、制御配線本数を削減するために1フレーム(1画面の走査期間)を時分割して走査します。
時分割のことをデューティー(Duty)と呼び、1/1(スタティック駆動)、1/2, 1/3, 1/4 … と分割するほど配線本数は減りますが、液晶への電圧印可時間が短くなるため、視野角やコントラストは低下する傾向にあります。使用するドライバ(コントローラ)の端子数が許容出来る限り時分割数は小さくしておくことを推奨します。

駆動電圧

液晶駆動電圧はデューティー数とバイアスに依存して性能維持のために下限がありますが、1/4デューティー1/3バイアスの場合、TNタイプなら3V程度でも問題ありません。高いデューティーの場合、高い駆動電圧が必要ですが、昇圧回路を内蔵したドライバ等を用いて3V電源でも駆動させることが出来ます。通信ロジック電圧と液晶駆動電圧の両方に注意が必要です。

温度範囲

動作温度範囲として、右図の3つがあります。用途に応じてご相談ください。

なお、液晶には温度依存性があります。光学性能は、仕様書において室温を基準にして記載されますが、低温/高温下ではコントラストや応答速度は変化しますので、ご注意ください。

グレード 特長
一般グレード 0~50℃まで対応
広温度範囲グレード -20~70℃まで対応
高温高湿対応グレード 高温度、高多湿に対応